ARTICLE 紹介記事

筦山銘尺八

□□□本稿は月刊邦楽情報誌「邦楽ジャーナル」2018年6月号(Vol.377)に掲載された工房紹介記事を、有限会社邦楽ジャーナルの許諾を得てそのまま抜粋したものです。(邦楽ジャーナルに関する情報はこちら)

 

ひょうたん形の焼印が特徴的な「筦山銘尺八」。群馬県の谷川岳山麓の谷川温泉に工房を構えているという、絶好のロケーション。工房と併設して旅館「やど筦山」を長男大輔さんが経営する。毎晩尺八の生演奏を披露して尺八の裾野を広げているという。電車ならJR上越線水上駅で下車し送迎の車で5分、クルマなら関越自動車道水上ICから10分の距離にある。

筦山さんは1949年(昭和24)生まれ。尺八との出会いは國學院大学での「尺八と箏の会」だった。製菅は独学。大学卒業後、数年の公務員生活を経て77年に工房を設立した。その年に生まれた次男慎吾(筦斎)さんが2007年から仕事に加わる。筦山さんは宮田耕八郎に、大輔さんは坂田梁山に、筦斎さんは故山本邦山に師事した。「三者三様のトッププロの要望にかなう尺八を製作したことが現在の礎となっています」

竹材は地元群馬さんのほか長野、九州産などを使用。製菅は内径ゲージありきではなく、竹の外部・内部の曲がりを考慮して音の出具合をその都度チェックしながら一音一音製作していく。「無理のない息の流れを最重要視した作りとなっています」

「一音で魅了できる楽器」「音色の変化が自在で思いを音に乗せられる楽器」を目指している。工房のキャッチフレーズ「伝えたい技がある届けたい音がある」はこの思いから生まれたという。特に注意を払っていることは4つ。

①美しい響きのある音色。

②ppからffまでスムーズに操作できる。

③どのように吹いても音が浮かない(音程が正しくとれてしっかりした芯のある音)。

④メリ音・特殊音に対応できる。

購入後1年間は割れや中継ぎのゆるみなど無料でメンテナンスしている。

(月刊邦楽情報誌邦楽ジャーナル2018年6月号(Vol.377)より)